この記事を監修した人
ゲレンデでグラトリを軽々と決めている人を見て、自分もやってみたいと思っていませんか。
動画を真似して練習したものの、オーリーで高さが出ない、180が回りきらないと感じている方は少なくありません。
グラトリが伸び悩む原因は、センスではなく練習の順番と道具の選び方にあることがほとんどです。
この記事では、初心者が最短で基本技を覚えるための段階別の練習手順と、上達を止めている見落としがちな要因を整理しました。
この記事でわかること
- グラトリの基本4技を覚える正しい順番
- オーリーや180がうまくいかないときの原因の切り分け方
- 上達を止めている板選びと視界の問題
- 練習の質を上げる7つのコツ
グラトリ上達を止めている3つの原因
グラトリはグラウンドトリックの略で、ジャンプ台やレールを使わず、平らな斜面で board を操作して技を決める遊び方です。
特別な設備がいらないため誰でも取り組めますが、独学で始めた方の多くが同じところでつまずきます。
原因は大きく3つに分けられます。
原因1:練習の順番が体系化されていない
グラトリの技は、前の技で身につけた動作を土台にして次の技が成立します。
プレスで重心移動を覚える前にオーリーを練習しても、板が反発する位置に体重を乗せられません。
オーリーで安定して高さが出せない状態で180に進んでも、回転の途中で失速します。
つまり、飛ばした工程がそのまま上達の頭打ちになります。
遠回りに見えても、プレスから順に積み上げるほうが結果的に早く上達する傾向があります。
原因2:板とセッティングが体格に合っていない
グラトリは板をしならせて反発を引き出す遊びのため、道具の相性が結果に直結します。
技術的には正しく動けていても、板が反応しなければ何も起こりません。
確認しておきたい要素は4つあります。
1つ目はフレックス(板の硬さ)です。
体重に対して硬すぎる板はそもそも曲がらないため、どれだけ荷重しても反発が返ってきません。
反対に柔らかすぎる板は、スピードを出したときに落ち着かなくなります。
グラトリを主目的にするなら、同じシリーズの中では柔らかめが扱いやすい傾向があります。
2つ目は板の長さです。
短い板は取り回しが軽く回転技を始めやすい一方、高速域での安定性は下がります。
長さを変える前に、まずは今の板でプレスができるかどうかを確認してみてください。
3つ目は板の形状です。
接雪面の形(キャンバー・ロッカー・ダブルキャンバー)によって、反発の返り方と逆エッジの起きやすさが変わります。
板の形状ごとの特徴
| 形状 | 反発 | 逆エッジ | グラトリでの傾向 |
|---|---|---|---|
| キャンバー | 強い | 起きやすい | 反発を使った高さは出しやすいが、扱いに慣れが必要 |
| ロッカー | 弱い | 起きにくい | 低速で扱いやすく、プレス系の練習がしやすい |
| ダブルキャンバー | 中程度 | 起きにくい | 反発と扱いやすさの両立を狙った形状で、グラトリ向けに選ばれやすい |
4つ目はスタンス幅とアングルです。
狭すぎると板をしならせにくく、広すぎると膝が使えず腰に負担がかかります。
回転技を練習する段階では、前後の角度を左右対称に近づけたダックスタンスにすると、スイッチでの着地が安定しやすくなります。
いきなり大きく変えず、少しずつ動かして違いを確かめてください。
原因3:視界が確保できていない
見落とされがちですが、グラトリはターン練習と比べて転倒の回数が圧倒的に多い練習です。
転ぶたびにゴーグルへ雪が付着し、体温と汗でレンズの内側が曇ります。
視界がぼやけた状態では雪面の凹凸を読めず、踏み切るタイミングが合わなくなります。
1本ごとに曇りを拭う時間が発生すると、1日に打てる本数そのものが減ります。
この点については記事の後半で詳しく取り上げます。
初心者がまず覚える基本の4技
グラトリには数多くの技がありますが、初心者が最初に取り組むべきものは4つに絞られます。
この4技は、その後のほぼすべての技の土台になります。
プレス:板のしなりと重心を体で覚える
プレスは、ノーズ(前側)またはテール(後ろ側)に体重を乗せ、板の片側を浮かせたまま滑る技です。
見た目は地味ですが、板がどこまでしなるのか、どの位置に乗れば安定するのかを体に覚えさせる工程になります。
上半身を大きく倒すのではなく、膝と足首を曲げたまま腰の位置を前後させる意識で行うと安定します。
オーリー:反発を引き出して高さを出す
オーリーは、テール側に荷重して板をしならせ、その反発を使って跳ぶ技です。
ジャンプというより、板を曲げて離すという感覚に近い動きになります。
腕の力で飛ぼうとすると上体だけが浮いて板が付いてこないため、後ろ足で板を押し込む動作を先に覚えてください。
ノーリー:オーリーと逆の動きで前足を使う
ノーリーはオーリーの逆で、ノーズ側に荷重して前足の反発で跳ぶ技です。
オーリーだけを練習していると後ろ足に頼る癖がつくため、早い段階から並行して練習しておくと動作の幅が広がります。
フェイキー:スイッチで滑る感覚に慣れる
フェイキーは、普段とは逆の向き(スイッチ)で滑ることを指します。
回転技では必ず逆向きで着地する場面が出てくるため、フェイキーで滑れないと180から先に進めません。
技の練習ではなく、移動のたびにスイッチで滑る習慣をつけるだけでも十分に効果があります。
上達を最短にする段階別の練習ステップ
ここからは、実際にゲレンデで何をどの順番で練習するかを4つのステップに分けて解説します。
1つのステップは、意識しなくてもできるようになってから次に進んでください。
STEP1 平地でプレスの重心移動を覚える
リフト降り場の先など、傾斜のほとんどない場所で板を履いたまま前後に体重を移します。
ノーズとテールが交互に浮く感覚がつかめたら、緩斜面を滑りながら同じ動きを行います。
滑走中は目線を進行方向に置き、足元を見ないようにすると姿勢が崩れにくくなります。
STEP2 緩斜面でオーリーの反発を引き出す
スピードを出さない緩斜面で、テールを踏み込んでから抜く動作だけを繰り返します。
最初は高さを求めず、板が跳ね返る感覚を確認することを目的にしてください。
跳ね返りが分かるようになったら、抜くタイミングを少しずつ速めていくと高さが出てきます。
STEP3 フロントサイド180で回転の基礎を作る
オーリーで安定して跳べるようになったら、回転技に進みます。
フロントサイド180は、体の正面側へ半回転する技です。
跳ぶ前に上半身を回転方向と逆にわずかにためて、跳んだ瞬間にためを解放しながら目線を回したい方向へ送ります。
回りきらない原因のほとんどは、目線が回転より先に動いていないことにあります。
着地はフェイキーになるため、STEP2までにスイッチで滑れるようにしておくと成功率が大きく変わります。
STEP4 バックサイド180とスイッチへ広げる
フロントサイド180が安定したら、背中側へ回るバックサイド180に進みます。
バックサイドは回転の途中で進行方向が見えなくなるため、体が起き上がりやすくなります。
上体を立てずにコンパクトな姿勢を保つことが、着地を安定させる条件になります。
練習場所とマナー
練習場所は、横幅が広く人の少ない初心者向けコースが適しています。
コース中央や合流地点は避け、転倒しても後続と接触しない位置を選んでください。
グラトリは急に減速したり進行方向が変わったりするため、周囲の確認は毎回必要です。
転倒回数が多い練習であることを踏まえると、ヒッププロテクターの着用も検討する価値があります。
痛みへの不安が減るだけで、踏み切りの思い切りが変わります。
グラトリ上達のコツ7選
コツ1 体の軸をまっすぐ保つ
頭から背中までを一本の軸として立て、その軸を中心に回転や荷重を行います。
軸が傾いた状態で跳ぶと、回転方向が意図しない側にずれます。
コツ2 目線を回したい方向へ先に送る
回転技では、体より先に目線が動きます。
着地地点を見ようとして下を向くと回転が止まるため、回りたい方向の斜面上を見続けてください。
コツ3 姿勢をコンパクトに保つ
膝と足首を曲げたまま、体を小さくまとめた姿勢が基本になります。
空中で伸び上がると回転速度が落ち、着地の衝撃も逃がしにくくなります。
コツ4 1日1テーマに絞って反復する
複数の技を同時に練習すると、どの動作が成功要因だったのか判断できなくなります。
1日はプレスだけ、次はオーリーだけというように、テーマを絞ったほうが定着が早くなります。
コツ5 自分の滑りを動画で撮る
感覚と実際の動きにはずれがあります。
同行者に撮ってもらう、または三脚で定点撮影するだけで、荷重位置や上体の起き上がりを客観的に確認できます。
コツ6 オフシーズンに下半身を鍛える
グラトリは片足荷重とバランス保持の連続で、太もも周りと体幹への負担が大きくなります。
シーズン前にスクワットやバランスボードで下地を作っておくと、滑走初日から動ける状態で入れます。
コツ7 行き詰まったらスクールを使う
独学では、自分の癖を自覚することが最も難しくなります。
1回のレッスンで原因が特定できることもあるため、同じ課題で数日止まっているときは検討してみてください。
視界が上達速度を左右する理由
技術面の話が続きましたが、練習量そのものを左右する要素として視界があります。
この点に触れている解説は多くありませんが、転倒回数の多いグラトリでは影響が大きくなります。
転倒が多いグラトリでは曇りと雪の付着が起きやすい
転倒するとゴーグルの表面に雪が付き、起き上がる際の呼気と汗でレンズの内側が曇ります。
一度曇ったレンズを内側から拭くと曇り止めコーティングを傷めるため、本来は拭かずに換気して乾かす必要があります。
しかし滑走中に換気する手段がないと、視界が戻るまで滑り出せません。
1本ごとに数分の待ち時間が発生すると、半日の練習で打てる本数は大きく変わります。
曇天で雪面の凹凸が見えないと踏み切りが合わない
グラトリは雪面のわずかな起伏を使って反発を得る場面があります。
曇りや降雪でコントラストが落ちると、凹凸が読めず踏み切りのタイミングがずれます。
天候が変わるたびにレンズを替えるのは現実的ではないため、明るさに応じて濃さが変わる調光レンズが有効な選択肢になります。
Owl Opticalオーナー Kazuのコメント
雪面の紫外線は非常に強いので、ゴーグルかサングラスどちらかでもした方が目を守る意味でも大事です。
視界を保つために練習前後でできること
曇りは、レンズの内外に温度差があり、内側の湿った空気が冷えることで発生します。
つまり、湿気をこもらせないことと、温度差を作らないことが対策の基本になります。
- 曇ったレンズの内側を拭かない。曇り止めコーティングを削ってしまうため、拭かずに乾かす
- 休憩時はゴーグルを額に上げず、外して風通しのよい場所に置く。額に上げると体温と汗で一気に曇る
- ネックウォーマーやバラクラバでゴーグル内へ呼気が流れ込まないよう、口元の位置を調整する
- 転倒後は雪をはらってから被り直す。雪が付いたまま被ると溶けて内側に水滴が回る
- その日の天候に対してレンズが暗すぎないか確認する。曇天で濃いレンズを使うと凹凸が読めなくなる
道具の面では、滑走の合間に換気ができる構造かどうかが分かれ目になります。
レンズを跳ね上げて内部の空気を入れ替えられるタイプであれば、転倒後やリフト待ちの数秒で視界を戻せます。
天候が変わりやすい日には、紫外線量に応じて濃さが変わる調光レンズも選択肢になります。
レンズを持ち替えずに1枚で明るさの変化に対応できるため、練習を中断せずに済みます。
よくある質問
グラトリは何から始めればいいですか?
プレスから始めてください。
板のしなりと重心の位置を体で覚える工程で、オーリーや回転技の土台になります。
平地で前後に体重を移す練習から入り、緩斜面で滑りながら同じ動きができるようになったら次に進みます。
グラトリ専用の板でないと練習できませんか?
専用板でなくても練習は可能です。
ただし体重に対して硬すぎる板は板がしならず、反発を引き出せません。
反発が返ってこない状態が続く場合は、板のフレックスが体格と合っているかを確認してみてください。
オーリーで高さが出ないのはなぜですか?
腕や上体の力で跳ぼうとしていることが主な原因です。
オーリーは板をしならせた反発で跳ぶ動作のため、まず後ろ足でテールを押し込む動きを覚える必要があります。
高さを求める前に、板が跳ね返る感覚を確認する練習から始めてください。
180が回りきらないときはどうすればいいですか?
目線が回転より先に動いていない可能性があります。
着地地点を確認しようとして下を向くと回転が止まります。
跳ぶ前に上半身を逆方向へわずかにためて、跳んだ瞬間に目線を回したい方向の斜面上へ送ってください。
逆エッジで転ばないための対策はありますか?
スピードを落とし、板を雪面と平行に保つ意識が有効です。
特にスイッチで滑る際に逆エッジが起きやすくなります。
横幅が広く人の少ないコースを選び、ヒッププロテクターを着用しておくと転倒への不安が減ります。
グラトリが上達するまでどれくらいかかりますか?
個人差はありますが、プレスとオーリーであれば数回の滑走で形になる方が多い傾向があります。
180まで含めると1シーズンを目安に考えてください。
1日に複数の技を同時に練習せず、テーマを絞って反復したほうが定着は早くなります。
練習中にゴーグルが曇るときはどうすればいいですか?
内側を拭くと曇り止めコーティングを傷めるため、拭かずに換気して乾かすことが基本になります。
レンズを跳ね上げて換気できるフリップアップ式のモデルであれば、滑走の合間に視界を戻せます。
天候の変化が大きい日は、明るさに応じて濃さが変わる調光レンズも有効です。
まとめ
グラトリの上達は、才能ではなく順番と環境で決まります。
この記事の要点を整理します。
- プレス、オーリー、ノーリー、フェイキーの4技を順番に積み上げる
- 板のフレックスとスタンス幅が体格に合っているかを確認する
- 1日1テーマに絞り、動画で自分の動きを客観的に確認する
- 回転技は目線を先に送り、姿勢をコンパクトに保つ
- 転倒が多い練習だからこそ、視界を戻せる環境を整えて練習本数を確保する
技術の練習と同じくらい、練習を止めない環境づくりが上達の速度を左右します。
次にゲレンデへ行く日は、この記事のSTEP1から順に試してみてください。
※ 本記事の情報は各公式サイト・一次情報源をもとに作成しています。価格・スペック・内容は変動する場合があります。最終更新:2026年8月
Owl Opticalオーナー Kazuのコメント
普段と違うスタンスで滑る練習は、総合滑走能力を向上させる上でも必要になります。そしてスタンスの自由が効くことにより技の幅も圧倒的に広がるので、グラトリだけではなく、フリーランを逆のスタンスで滑る練習も行いましょう。